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アスリートからコーチへ、人生を懸けて歩んできた高橋さんが、若者たちに残したい 「生きる力」とは!?

高橋 洋一さん(コーチ編)

ラグビーコーチ 競輪選手/47期

前回の【お仕事編】では、百貨店を守る警備員としての一面に迫りました。
冷静な判断力と観察眼で日夜人々の安全を見守る高橋さんにはもう一つ、高校生ラガーマンたちを育てるトレーニングコーチとしての情熱的な顔がありました。
高橋さんと芝浦工業大学柏中学高等学校ラグビー部との関わりも気がつけば20年。
後編では、一人ひとりの成長を見守り、時に励まし、時に寄り添う「コーチ」としての素顔、そして「ラグビーを通じて伝えたいこと」に迫ります!
前編 高橋洋一さんインタビュー【お仕事編】はこちら

――選手を指導する上で「褒める」と「叱る」のバランスは、どのように考えていらっしゃいますか?

とにかく褒める!9割は褒めているんじゃないでしょうか(笑)
褒めない場合でも否定はしない主義です。

――選手の「成長」を最も感じるのはどんな瞬間ですか?

選手に限らず人はきっかけがあるとガラッと変わります。
特に引退のかかった秋の試合 (3年生)は、30分前とは違う人間なのでは!?と思えるくらいに変わるので、それを見るのが好きなんです。
そんな秋を楽しみに、日頃のわちゃわちゃを過ごして(耐えて) います(笑)

――学校のホームページで出てきた「凡事徹底」。日頃の練習において、選手たちに徹底させている「当たり前のこと」とは?

世の中「やってもらう側」の人が多数派で、その中から成功者は生まれないと信じていますので、人にやってもらう前にすすんで自分からやるように言います。

――息子さんがきっかけで始められて20年。今ご自身にとってこのラグビー部と生徒たちは、どのような存在になっていますか?

初めの頃は、一緒に戦うチームの一員のような感覚でしたが、最近はかわいい孫を見るおじいちゃんの目になっている自分がいてイケナイ、イケナイと思うことも。いずれにしても愛しい存在には変わりないのかな(笑)

――監督や他のコーチの方々とは、どのような役割分担で指導を?また、チームの中でのご自身の「役割」をどう捉えていますか?

監督がラグビーの戦略や人事、他のコーチがラグビーに関する指導を担当し、自分は身体と心のトレーニングを担当しています。
マネージャー、OB(卒業生)、親御さんの強いサポートもありますね。
試合が近づいてくると週に1度は対戦相手と自分たちのビデオを見ながら皆で意見を交わすんですが、マネージャーやOBが、すごく献身的にスカウティング (相手チームの分析や選手の評価を行うこと)に協力してくれるんですよ。
また、現役選手の親御さんは父母会があるんですが、卒業生の親御さんを対象とした後援会を立ち上げようという動きもあります。

――「競輪」はラインこそあれ個人競技、「ラグビー」は究極のチームスポーツ。この対極ともいえる経験は、現在の指導にどのような影響を与えていますか?

どのスポーツにおいても個人の果たす責任があると思うので、そこは15人の個人の集まりだと思い、指導するようにしています。
迷いがあり、個の責任を果たせない選手は、チームの弱さに繋がるので改善できるように話し合いますね。

――警備の仕事で培われた「一瞬の状況判断力」や「人間観察眼」は、グラウンドで選手を見る際に、どのように活かされていますか?

競輪で得た「相手が今何を考えているかを感じ取る力」が、警備を通して磨きがかかったように思います。
それを活かした指導がしたいですね。

――学校のホームページで準備の大切さを幾度となく語っていらしたのが印象的でした。「競輪選手としての準備」「警備員としての準備」「ラグビーコーチとしての準備」それぞれの違いと、根底にある共通の哲学を教えてください。

それぞれ一言で表すと「競輪=覚悟」「警備=同調」「ラグビー=親和」かな?

――様々なキャリアを経験されたからこそ見える「アスリートの強み」があると思います。競輪選手が持つ特有の強みで、ラグビーの指導に活きているものはなんでしょうか?

「人が発する気を感じ取ることができる」点ではないでしょうか。
命を懸けた状況下で究極の選択をしいられるレースを重ねてきた競輪選手ならではの感覚だと自負しています。

――ラグビーを通じて生徒たちに伝えたい「最も大切なこと」を一つ挙げるとしたら?

最後まで自分らしさを失わない、ブレない自分を作り上げるためにラグビーをやってほしいですね!

――このチームに、そして生徒たちに、何を「遺して」いきたいですか?

いかにぶれないで、ちゃんと日々を積み重ね、信用を得ていけるかが一番大事なんだよってことをラグビーを通じてたくさん学んでほしいなと思っています
選手みんなが、ここにいた時と同じ顔(笑顔)でOBとして戻ってこれるように、繋いでいけたらと思っています。
その場所を守るっていうのはすごい大変なことなんだけど、それを守るためだったら、いくらでも頑張れるかなって思っています。

――そういう居場所を後輩たちにも残していきたいっていう優しい想いが伝わってきますね。

今日来てくれている卒業生の代は、めちゃくちゃ強かったんです。
あとワンゴール取れば、春の関東大会ってところまで行って、その相手が東海大浦安。
秋は準決勝で流通経済柏と戦うことを目標に準備しましたが、その前に八千代松陰に負けてベスト8でした。
ラグビー経験者がほとんどいない中で、ラグビー指定強化校を相手に互角に渡り合ってきた世代です。彼はその代のキャプテンで、今も芝浦工大でラグビーを続けてくれて、明日合同練習をしてくれるんですよ。

――競輪選手、警備員、ラグビーコーチ。もし、どれか一つだけ「天職」を選ぶとしたら?

「夫」です(笑)
でも、これがすべての原点だと思っていますから。

——仕事とコーチ業でお忙しい毎日だと思いますが、高橋さんご自身のパワーの源、プライベートでのリフレッシュ方法は何ですか?

月に一度は、必ず旅行に行くようにしています。あとはパワーブレス作りにハマっていて、どちらも癒しになっています。

——今なおグラウンドに立ち、若者にエネルギーを注ぎ続ける、その情熱はどこから?

自分の生きている時間と誰かの生きている時間がクロスしている時、ラグビーであれ、警備であれ、クロスした人の大切な時間に良い影響を与えることができるように「熱く生きたい」と常々思っています。

——セカンドキャリアに悩む後輩アスリートたちへ高橋さんの「生き様」から伝えたい、力強いメッセージをお願いします。

どんなに素晴らしいアスリートでも競技から離れる時が来ます。
その時が来たら不安になるのではなく、新たなことにチャレンジする時が来たのだと捉え、いつも以上に自分の心と素直に対話して、「やりたいこと」や「できること」にチャレンジしてください。
私の場合は、ラグビーコーチを継続するために迷わず警備員の道を選びましたが、その結果、すばらしい職場と新たな人間関係を得ることが出来ました。
「縁」は「迷わない強い気持ち」が生んでくれると信じて行動してください。
皆さんの挑戦を応援しています!

インタビューを終えて

高橋さんはこうも語っていました。
「できないと思ったら何もできない。 今の自分をベースに大事にしつつ、自分のやりたいことを肉付けしていって、失敗したら剥がしちゃってもいい、それは全然悪いことではない。 ハンデになることではないので、どんどんチャレンジしてもらいたいと思います。 自分を変える勇気、時にはプライドを捨てる勇気を持ってね。 私は、どんどんチャレンジしちゃう! 家庭を守る夫という天職を全うしつつ、これからもやりたいと思ったことに挑戦していきます!(笑)」と。
そんな高橋さんと芝柏ラグビー部は、これからもたくさんの笑顔をつないでいくことでしょう。
一人ひとりが「ここにいてよかった」と思える場所を作るために——
前編 高橋洋一さんインタビュー【お仕事編】はこちら

高橋洋一さん プロフィール

1981年04月 19歳で競輪選手としてデビュー 47期 東京所属(適性組)
★通算成績2687戦124勝
2006年06月 芝浦工業大学柏中学高等学校のラグビー部トレーニングコーチに就任 (今年で20年目)
2014年07月 52歳で競輪選手引退(選手生活33年2か月)
現在は、株式会社シービーケーの正社員として、松屋銀座の警備員 (防災センター)に従事

掲載日:2025年9月8日
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