
競輪への愛で繋ぐ、引退後の多彩な人生~元競輪選手・田中麻衣美さんのキャリアストーリー~
2012年に復活した女子競輪こと“ガールズケイリン”
その第一期生である田中麻衣美さんは、エステティシャンやウエディングモデルを経て、競輪選手に転身された異色の経歴をお持ちの方です。
そして華々しい世界から、新たなステージへ。
選手引退後も弥彦競輪の公式YouTubeチャンネルに出演するなど競輪界と深く関わりながら、競輪場内飲食店のお手伝いとマルチな活動で今も輝いています。
持ち前のポジティブさで、エネルギッシュに活躍する田中さんに、競輪への熱い想いとセカンドキャリアの魅力について伺いました。
◆田中 麻衣美さんのプロフィール◆
エステティシャンやウエディングモデルを経て、弥彦競輪PRユニット・すぴRitsの一員として活動
弥彦競輪のサイクリングクラブ「CLUB SPIRITS」発足を受け加入し、みごと2012年7月に102期(女子第1期・新潟所属)として競輪選手デビューを果たす。
10年の選手生活を経て、2022年7月に引退。通算成績4勝。
現在は、弥彦競輪の公式YouTubeチャンネルで活躍する傍ら、弥彦競輪場内にある「ラーメン輪(WA)」の店員として働いています。

―――競輪との出会い、選手になったきっかけは?
弥彦競輪のキャンペーンガール“すぴRits”で活動を通じて競輪を知り、そこで女子競輪が復活することを知りました。
“すぴRits”解散後、もともと高校まで陸上競技をやっていて運動が好きだったこともあり、弥彦競輪のサイクルチーム「CLUB SPIRITS」の発足を受け加入し、そこで、加瀬加奈子さんや中川諒子さんと共に約1年頑張って、選手の道へ進みました。
加入当初は「あわよくばなれたらいいね」程度だったのですが、練習を重ねていくうちにタイムが30秒ぐらい縮まり、これなら本当に選手になれるかもしれないと思い始めたのがきっかけかもしれません。
―――選手時代のことを振り返ってみて
最初は結構先行していたんですけど、師匠(池端将巳さん)に「自分の足に見合った走りをしていないとすぐにクビになるよ」と言われて、追い込みじゃないけど後ろで走ることが多くなりました。
自分の走りを意識することで、長く続けて欲しかったというのがあると思います。それが無ければ、もっと早く引退していたかもしれない。
でも先行にこだわっていたら、もっと脚力がついていたかもしれない。そこはわからないですけど、10年続けられてよかったです。
10年持たないのでは?と皆に言われてきたんですけど、別にそうは思わなかたですし、負けず嫌いだったので、逆に「やってやる!」みたいな気持ちになりましたね。
―――引退後の生活設計について(意識しだしたのはいつ頃?)
「引退しても、(業界内で)いろいろ仕事はあるからね」みたいに言われていたんです。なので、特に何も気にしていなかったですし、就職活動的なこともしていませんでした。
今は、頂いた競輪解説の仕事を中心に、池端さんのラーメン屋のお手伝いや、友達がやっているエステのお店を手伝ったりしています。
競輪関係の仕事に関しては、今もまだ事務所には所属しているんですけど、直接オファーが来ることがほとんどですね。
早く名刺作らなきゃなと思うんですけど、まだ作ってない(笑)でも引退後もこうやってお話がくるのは、本当にありがたいですし、嬉しいですね。

―――今のお仕事について、まずは解説などのメディア出演から伺えますか?
引退直後は、名古屋のミッドナイト競輪(CS放送)で解説デビューしました。
元々は加藤慎平さんが出演されていた番組なんですが、「ぺーちゃんねる」で忙しくなったらしくその代わりとしてオファーが来た感じです。2年くらいやっていましたね。
「解説デビューだ!」と思って受けたのですが、最初は全然解説になっていなかったかもしれません。でも仕事がもらえて、素直にありがたかったですね。
あとは、弥彦競輪のYouTubeチャンネルや、サテライト新潟でのトークショーや予想会などに出演しています。
車券予想は難しいですけど楽しい、選手のこと(レース展開)を読んだりするのが面白いですね。
―――メディア出演でのご苦労など
ガールズに比べると男子選手についてはまだまだ詳しくない。ファンの皆さんのほうが詳しいかもしれません(汗)
予想が当たっても、それをうまく解説出来ないこともあります。うまく話せるようにもっと勉強していきたいですね。
実際、レース前夜は脳がパンクするほど下調べをしています。
それでもS級の9車立てだと全員の実力が拮抗しているレースも多いので、ファンの皆さんはどこから買ってるの?って聞きたくなるくらいに悩むこともあります(笑)
生放送は大変ですが、やりがいありますし、色んな選手との交流も本当に楽しいです。
対照的にYouTubeは、すごく気楽にやらせて頂いています。
いずれにしても選手時代含めこれまでの経験が活かせているのではないでしょうか。
競輪関連の仕事依頼、お待ちしております!

―――ラーメン屋のお仕事について
競輪選手になる前に6年ぐらいエステの仕事をしていたので、その経験を活かして友人のお店を手伝っていた時期もあるのですが、今はラーメン屋の方に専念しています。
弥彦競輪場内にある師匠(池端将巳さん)のお店なんですけど、何か協力できればと思って手伝い始めました。
普段、選手とファンの交流ってあまりないと思うのですが、
お店に来て頂いたお客様とは、コミュニケーションをとることもあり、「ガールズの予想はどこから買えばいいんだ?」など聞かれたりすることもあります。
中には、私の飼っているワンちゃんの写真でグッズを作ってくれるファンの方もいて、今着てるTシャツがまさにそれなんですけど、ありがたく頂いています。
―――これから挑戦してみたいことはありますか?
カフェとか、花屋さんとか、これまでやったことのない仕事もしてみたいなと思っています。家族も「自分がやりたいことをやればいいじゃん」と言ってくれていますしね。
でも、ここ(ラーメン屋)が忙しすぎて、なかなかやる暇がないんですよ。
競輪の仕事のオファーが入るとその都度、池端さんに「ギャラが高いほうでいいですか?」なんて相談しながら優先順位を決めています(笑)

―――今のお仕事、どんな人に向いていると思いますか?
接客業だったら愛嬌と元気がある人ですね。あとは、ご年配のお客様が多いので、大きい声ではっきり話せる人。
競輪の予想については、選手であれば皆さん出来るんじゃないでしょうか(笑)
エステについては、通っているお客様からスタッフになる方が多い業界です。
自分の体型が気になっている人、綺麗になりたい人、綺麗になることに興味がある人などが向いていると思います。
―――後輩選手の方々にひとこと(引退後後悔のないセカンドキャリアに備えるために)
現役時代は、全力でやりきってもらいたいです。
あとは、いろいろな方とのつながりを大事にしておくことで、引退後もご縁が繋がっていくかもしれません。
もし解説などの仕事をやってみたいと思うなら、現役時代から他の選手のことを覚えるようにするのもいいかもしれませんよ。

取材を終えて―――
元選手としての経験を活かし、様々な分野で活躍する田中さん。
競輪解説の難しさや楽しさを語る姿は、まさにプロフェッショナルそのものでした。
「競輪に関わる仕事がしたい」という強い想いもありつつ、ラーメン店での仕事を通じ、師匠や選手、そしてお客さまとの絆をとても大切にしている田中さん。
優しさに溢れるその想いが、セカンドキャリアを充実させているのではないかと感じました。
新たな可能性を見出し、自身の持ち味を存分に活かしていくその姿にキャリアや人生の多様性について深く考えさせられたアスリートの皆さんも多いのではないでしょうか。
田中さんのこれからの挑戦が、更にどのように広がっていくのか楽しみにしています!
掲載日:2025年1月15日
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