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緊急特番!地元トークライブの平原康多さんに突撃インタビューを敢行!

平原 康多さん

競輪評論家 競輪選手/87期

「引退」――。それはすべてのアスリートがいつか必ず向き合う瞬間。
輝かしい実績を誇るトップ選手でさえ、そのタイミングは必ずしも計画通りに訪れるとは限らない。
28年以上にわたる選手生活に自ら終止符を打った平原康多さん。
彼は「できるところまで長く選手を続けるビジョンだった」と語る。
予期せぬ怪我、そして引退という決断。この記事は、セカンドキャリアで成功した誰かの話ではない。
今まさに、次のキャリアの入り口に立ち、未来を模索する平原さんの「現在地」からお届けする、リアルな声だ。
「ここからが本番」と語る彼の言葉は、キャリアの「正解」を探すのではなく、自分だけの「答え」を見つけるための新たな視点を与えてくれるに違いない。

――函館オールスターでの選手インタビュー拝見しました。選手の素顔が見られて、とても面白かったです!

いえいえ、世間話しているだけなんですけどね(笑)でも選手の素顔を引き出そうと思ってやっています。

――さて、5月の電撃引退から数か月が経ちました。トークライブでもMCの方が「引退して顔つき変わったね」っておっしゃっていました。プレッシャーや緊張感から解放されて、どのような日々を過ごされていますか?

常に気が張り詰めていたものが、今はなくなった気がします。そこの変化が一番大きいですね。

――トップ選手として活躍されていた中で、次のキャリアを決めずに引退。その決断に至ったきっかけや心境については色々なところで語られていたかと思いますと思います。ある取材で「ここからが本番だと思って新たな目標と楽しみを見つけたい」と語っていましたが?

GI、GP目指してやってきたものがゼロになって、人生なにか目標がなかったら、生きている意味ないのかなって思ってましたけど、やっぱり競輪をすごく好きな気持ちは変わらないので、別の立場から競輪を世の中にもっと知ってもらえるように、競輪をもっと大きな世界にしていきたいなって思いますね。やっぱりそれが目標かな。
競輪選手は、アスリートの中でも一番苦しい経験 (トレーニング)をしているのではないかと思っていますので、自転車競技も含めて魅力的な「競輪」という競技をもっと世に広めていきたいなって思います。

――このタイミングであえて聞きます、競輪選手を目指したきっかけは?

父の影響です。でも子どもの頃は、父がどんな選手だったか分かっていなかったし、乗り方とかもそんなに教わらなかったですね。

――現役時代、「競輪選手の先にある人生」(キャリアプラン)についてどのように考えていましたか?

神山(雄一郎)さんみたいに、できるところまで長く選手を続けるビジョンだったんですけど、2年ほど前の大怪我で、思うように走れなくなって、つまらなくなってしまった。いきなり閉ざされた感じがしましたね。
痛いのはまだ根性で何とかなるんですが、力が入らなくなるのはどうすることもできなかった・・
年齢による体力や筋力の低下は全然受け入れるつもりでいたんですが、そういう未来にはならなかった。
予想以上に早い段階で、いきなり選択を迫られた感じがしましたね。
でも、そこで引退を選んだことが正解だったと思えるように、今後頑張るしかない。

――競輪選手のキャリア形成について、業界全体の課題や改善点があるとすれば何でしょうか?

難しいとは思いますが、改善点 (課題) はたくさんあると思います。
キャリア形成に限らず、業界として時代にあった新しいことをやっていかないと時代に取り残されていくんじゃないでしょうか。成功している業界を見習ったりして。
影響力のあるJリーグやプロ野球、海外(競輪)なんかとコラボしても面白そうですよね。
今はYouTubeやネットの時代なので、視聴者が自分の好きなことを通じて、競輪にたどり着くような流れが作れると新しいファンの獲得にも繋がりそうで、いいですよね。
先行投資だと思って、もっとメディアを活用していけばいいのにって思います。
まずは競輪を見てもらうこと、知ってもらうことが大事、そこから(新規ファンの獲得が)始まっていくのではないでしょうか。
実現できるかは分かりませんが、これからも色んなことを発信していきたいですね。

――平原さんの考える競輪選手としての誇りと、これからの人生で大切にしたいことをお聞かせください。

もう競輪選手じゃないので、誇りないんですけど(笑)
現役時代は、意地とプライドを持って戦ってきました。選手ひとりひとりがそういった想いをぶつけて走っていると思います。
自分もそういった想い、誇りを大切に、これから競輪業界を盛り上げていけるよう頑張りたいと思います。

――最後に「引退」という瞬間をどのように捉え、向き合うべきだと思いますか?

後輩たちは「引退」のことよりもいつまで選手を続けられるかってことを考えて、日々全力で取り組んでいると思います。
もちろん先のことも考えた方がいいんでしょうけど、僕は、その日1日を悔いなく終われるよう目の前のことを全力でやっていたので、次のことは考えていなかった。なので正直アドバイスしづらいですね(汗)
でも言えるのは、日々の積み重ねっていうのは、どの世界にいっても同じように大事なことだと思うので、そういう気持ちで頑張っていけば、次の仕事でも頑張れるようになると思います。

インタビューを終えて

「日々の積み重ねは、どの世界にいっても同じように大事」 インタビューの最後に平原さんが語ったこの言葉は、キャリアに悩む全てのアスリートの胸に響くのではないだろうか。
引退後のキャリアを明確に定めていない今だからこそ、平原さんの言葉には不思議な説得力がある。
予期せぬ形で引退を迎えたが、その根底には「競輪を大きな世界にしたい」という熱い想いがあり、その想いが解説や評論家といった新たな役割を引き寄せ、次の道へと自然に導いているように思えてならない。
この記事を読んだ現役選手の皆さんへ。今、改めて問いたい。
あなたは、目の前の練習やレースに、どんな想いを込めているだろうか。
その日々の積み重ねの先に、きっとあなただけの未来が待っているはずだ。
平原さんの挑戦は、私たちにそのことを力強く示してくれている。
私たちTキャリもまた、アスリートの未来を照らす一助となるべく、これからも発信を続けていきたい。

平原康多さん プロフィール

2002年8月 20歳で競輪選手としてデビュー 87期・埼玉所属
★通算成績:1614戦511勝、優勝61回(うちGⅠ9回)
★通算獲得賞金:17億1407万円
2025年5月 42歳で引退(選手生活約22年10か月)
2025年7月 日本名輪会に新規社員として入会
引退後は、全国の競輪場からのオファーを受け、トークショーやインタビュアー、競輪解説など忙しい日々を過ごされています。

掲載日:2025年9月2日
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