インタビュー#FILE09(元競輪選手の西森 功(旧:濱口)さん) | Tキャリあなたのセカンドキャリアを応援します!

接骨院を経営している元競輪選手のお話を伺いました!

今回は引退後、香川県の学校に三年間通い柔道整復師の資格を取得し、地元、高知市の一般の方や現役アスリートが通う接骨院を運営(開業:2019年)されている元競輪選手の西森 功(にしもり いさお・旧姓:濱口)さんにお話を伺いました。

通算成績128勝、選手生活27年、2012年1月6日に惜しまれつつ引退。現在は高知県で「にこにこ接骨院」を開業されています。


◆店舗情報◆


「にこにこ接骨院」※接骨院詳細はこちら

まずは競輪選手時代の思い出をお願いします。


思い出かぁ。そうですね。選手宿舎での夕食やその後の休憩時間が同期会みたいで楽しかったです。やっぱり同期が一番気心も知れている近い存在なので。あとは自分ではないですが、同期が GⅠで優勝した時は嬉しかったです。僕らの時代は同期が125人いたんです。引退する時に、今はない観音寺競輪場にみんなが来てくれた思い出もあります。

引退やセカンドキャリアを意識し出したのは?


2011年の東日本大震災後、高松で開催された1レース目で大腿骨を折りました。ですが、まだ1 期目だったので2012年6月までは引退への猶予がありました。しかし、2012年に退職金が大幅カットになると発表があり、丁度いい辞め時かと思い2011年12月で代謝をしようと決めました。あの時は大勢の選手が辞めました。

セカンドキャリアについては、レースに集中していたので考えていませんでしたが、あと半年で辞めると決めた時から少し考え始め、そこで”柔道整復師”に決めました。

柔道整復師に決めたきっかけはありますか?


20代は落車が多く体も結構ガタガタで、40代になったら毎年骨折していました。44、45歳の時は年間に3回骨折(2月、4月、7月)した事もありました。富山で骨折した時は野本博俊さんに車を運転して頂いて帰った事もありました。故障が多かったので体の事がわかるようになり、この世界なら出来るかもしれないと思いました。

資格取得の勉強はいつから始めましたか?


結構、選手時代に色々な免許を取る方達はいますが、僕はレースに集中したいので選手をしながらは出来ないと思い、辞めてから取ろうと決めていました。学校は4 月入学でしたので始まるまで3ヶ月位あり、少しゆっくりさせてもらいました(笑)

資格取得までのご苦労は?


先程お話しましたが、体の事が少し分かるので学校に行けば何とかなるだろうと思っていました。しかし専門的な事は本当に難しく当時46歳だったのですが、その日に学校で学んだ事が次の日には忘れてしまう様な状況でした。金銭的には競輪選手を長くやらせて頂いたので、家の支払いも終わり、子供も社会人になり養育費が掛からないため少し余裕がありました。学校は香川県宇多津町にあり、夜間コースに通いました。学校の近所にアパートを借りて、昼間は中距離トラックの運転手をして家賃と食費ぐらいは稼ぎました。学費と生活費が足りなくなった場合は自宅に連絡し送金してもらいました。中距離トラックの運転手は1日100キロほどでしたので、体力的にはそこまで大変ではありませんでしたが、たまに雪が降って渋滞になり、学校の時間まで切羽詰まった事もありました。勉強とアルバイトの両立でキツイ事もありましたが、三年間の履修を終えて無事に合格出来ました。

卒業後すぐ開業しましたか?


香川に学校がある関係で香川は接骨院が多いんです。それで就職しようと思い就職活動をしました。しかし年齢(49歳)が高いため、どこも雇ってくれませんでした。それで地元に帰ろうと思い、最後に東かがわ市で61期生の堀田耕市君が接骨院をしていたので、顔を見にちょっと立寄りました。話の流れで雇ってもらう事になり、「明日からでもいいんで来てください」と就職する事が出来ました。そこで4年間勤めさせて頂きました。働きながら見て学べましたし、色々と教えてもらい、とても重要な4年を過ごしました。また、徳島と近かったので現役の競輪選手が来てくれていて楽しかったです。

開業までご苦労はありましたか?


地元に戻り開業しようと店舗探しを始め、この店を見つけました。でも横に鍼灸接骨院があり喧嘩を売る様なので、とても良い場所だったのですが諦めて他の場所を探しました。その後は中々、思い通りの場所や広さの店が見つからず、半年ほどが経ちました。そんな時、最初に見つけた場所の横にある鍼灸接骨院が高齢のため自宅で営業する事になり、希望通りの場所と広さの物件に決める事が出来ました。あとは開業までの準備となり、内装工事や器具、家具の購入とお金がかかりましたので、政策金融公庫で借りました。選手時代に貯めておかなくては駄目ですね(笑)開店から5年目(2024年)になりました。

お仕事のやりがいは?


やりがいは医療関係なので、患者さんから「痛みがなくなった」「すごく楽になった」と言われる、その一言に尽きます。また信頼を得た事でお得意様になってくださり、ご友人を紹介して頂いたりしています。人との繋がりが沢山出来て財産になっています。

おすすめの治療はありますか?


前回、野本博俊さんにやって頂きました"コンビネーション治療(超音波+電気刺激)"と"ハイブリッド酸素カプセル OXYRIUM-S(オキシリウム-S)"です。
現役選手の新田祐大選手も一時期レースの前の日に”コンビネーション治療”を受けていたようです。体の真ん中の神経が通っている部分にパッドを貼り、アースの役割をさせます。治療する部分にジェルを塗りプローブで超音波と電気治療をしていきます。競輪選手は 体全部を行うので1時間はかかります。神経や筋肉痛の軽減に有効です。
酸素カプセル”オキシリウム”は、体の隅々まで酸素を送り血流を改善して、疲労回復、新陳代謝促進、リラクゼーションの効果が期待できます。
あとは自分の”手技”と言いたいところです。

※治療効果については、個人の感想であり効果には個人差があります。

競輪選手時代の経験が役に立っている事は?


結構、競輪選手は健康オタクなので色々なアイテムを持っていて沢山の情報を持っています。そして競輪選手時代の練習方法などはアスリートの患者さんに教える事が出来るので役立っています。高校生のスポーツ選手の方もいます。

後はコミュニケーション能力を養えた事です。今では患者さんが野菜を持ってきてくれたり、特に年配の方は会話を楽しみに来られる方が多いので。

あとに続く現役選手、後輩の方々にセカンドキャリアのアドバイスをお願い致します。


現役時代から資産運用を上手くするに越した事はないと思います。お金は貯めておいた方が良いです。僕はあまり強い選手では無かったので無駄遣いをせず、個人事業主のための積立て”小規模企業共済”をやりました。それとまだ退職金と年金があったので、それが大きかったです。ですので好きな事をさせて頂きました。

仕事については、まずは自分に興味のある物を見つける事が大事ではないかと思うんです。それが定まったら何か準備を始めると良いです。資格についても興味があって取れる物であれば、後々役に立つ事もあるので取って損はないと思います。僕は両立が出来ませんでしたが。

開業するにしても就職するにしても、ぜひ余裕を持っていてください。

インタビューを終えて


競輪選手から柔道整復師への転身の道のりは容易ではなく、西森さんの努力と粘り強さにより現在の成功に繋がっていると感じました。現役選手も利用するとのことで、技術はお墨付きです。技術のみならず、コミュニケーションを大事にされていることが伺え、心と体のケアができる整骨院であり、西森さんの人としての魅力と仕事への熱意が多くの人々からの信頼と支持を得ていることが伝わってきました。

西森さんのセカンドキャリアは、あとに続く現役選手に希望と勇気を与えてくれたと思います。今後も末長く、お店が繁盛することをTキャリも応援しています。